#SMASHThePAINT / にじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」全曲レビュー

 こんにちは。4g0_2です。

表題の通りの内容です。オタク音楽が好きな人向けのにじさんじ解説兼にじさんじを追っている人向けのオタク音楽案内だと思ってください。いわゆるネタバレが多分に含まれるので、CDを聴いてから他人のレビューを観たい方は先に聴いた方がいいと思います。それと、分量も結構ありますので時間に余裕のある時に読んでいただけると幸いです。

 

それでは早速。

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2020/05/20追記:配信販売、サブスク解禁されました。やったね 

linkco.re

 

 

1. 「にじさんじ」と音楽

  バーチャルYoutuber(Vtuber)というワードはオタク文化の中でしっかりと根付いたものになってきました。

 少しVtuberの歴史(?)を振り返ると、2017年から「バーチャルYoutuber四天王」に代表される先駆者たちが新境地を開拓していきました。活動としてはゲーム実況動画や生配信、いわゆるYoutuber的な内容のなどがある一方で、VR生配信でのファンとの交流などバーチャルならではの活動で技術的にも新たな世界が広がっていきました。そんな中、2018年2月にいちから株式会社が運営する「にじさんじプロジェクト」が開始し、今でいう「元一期生」の8人がデビューしました。ちょうどその時期はにじさんじだけでなく様々な企業が運営するVtuberグループが発足し、企業に属さない個人のVtuberも急激に増えてきて、認知度と多様性に関してVtuber文化が急激に発展した時期でもありました。当初(本当に当初)のにじさんじプロジェクトはLive2Dを用いた配信アプリの提供を目指しており、最初期のメンバーはそのテスターとして参画していたわけですが、まあ紆余曲折あってエンタメ経済圏を加速させるVtuberグループに成長を遂げます。

 そんな経緯で動き出したにじさんじプロジェクトですが、気付いたら所属ライバーが100人を超えていて、ここ半年あたりではアジア圏を中心に海外展開も始めるワールドワイドなプロジェクトになってきました。活動内容はYoutubeで雑談・ゲーム・歌・その他企画などの生配信や、歌動画の投稿が主なものですが、Youtube以外での活動ではトークショーのようなリアルイベントや歌唱中心のライブ、最近では超A&G+のラジオ番組など、オンラインオフライン問わない様々な形式の活動を展開しています。

 幅広い活動の1つとして歌・音楽はにじさんじにとって欠かせない要素です。活動当初から何かとニコニコの文化と相性のよかったにじさんじですが、「元一期生」が活動し始めて1ヶ月経った頃から所属ライバーのイメージソングを制作する文化が形作られていきました。中でもライバーの1人である月ノ美兎がデレマス好きだという話をしたことを受けてiru氏が制作した「Moon!!」は田中秀和氏作編曲のデレマスOP「Star!!」をリスペクトした曲に月ノ美兎の配信ネタを詰め込んだ歌詞で、ファンメイド音楽文化を加速させる起爆剤になりました。

www.nicovideo.jp(これは6月に投稿されたFul Ver

www.youtube.com(アニデレももう5年前)

 「ファンメイド」の文化は音楽だけでなくイラストでも広がっていきましたが、時間が経つにつれてプロのクリエイターの人々にもにじさんじファンがちらほらと現れるようになりました。ファンとの交流が密なライバーが多いこともあり、Twitter上でのライバーとプロクリエイターとの交流やプロクリエイターによるファンメイド作品が投稿されることもありました。

 プロクリエイターとの交流が深まる音楽面ではライブイベントを展開してく狙いもあり、プロクリエイターへ楽曲提供を依頼する形での楽曲コンテンツ展開が始まっていきます。ライバー個人としては樋口楓の1stシングル「KANA-DERO」、にじさんじ全体では昨年11月にフルアルバム「にじさんじMusic MIX UP!!」が発売されたり、kz氏プロデュースの一周年記念楽曲「Virtual to Live」(以下、VtL)はそれ以降のライブでのいわゆるおねシン的なポジションの曲になったりするなど、数々の楽曲提供を受けています。特に、VtLでは先述の「Moon!!」のフレーズや進行をリスペクトした曲になっており、楽曲提供の文脈においてもファンメイド文化が存在することがにじさんじの楽曲コンテンツの面白いところだなと思います。

www.youtube.com(どうしようもなく今を生きている)

2. にじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」とは

 前置きが長くなってきましたがそろそろ本題に近づこうと思います。

 2019年12月8日、kz氏プロデュース楽曲のVtLの名を冠した両国国技館でのライブ「Virtual to Live in 両国国技館」の終盤の重大発表パートにてにじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」の制作が発表されました。発表ではライバーとクリエイターの名前が写真とバン!バン!と次々に出てきて、有名どころも有名どころなクリエイター陣の連続に発表の瞬間はあまり理解が追いついていなかった記憶があります。ちなみに、そのタイミングでの発表では他にも現在行われているにじさんじ2周年記念全国Zeppツアー「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」や、月ノ美兎、樋口楓、petit fluers(森中花咲、御伽原江良)のメジャーデビューの発表もありました。

 (これは発表から少し経った後のオタクの感想)

 

 そんな感じで発表された「SMASH The PAINT!!」の制作ですが、クリエイター陣の編成に関しては運営の方からVtLを制作したkz氏に相談があったらしく、kz氏本人も含めたつよつよトラックメイカーが集結することになりました。

 にじさんじファンはもちろんライバー当人たちも漫画・アニメ・ゲームなどのオタク文化圏に浸かっている人(人外含む)が多いこともあってか、召集されたクリエイター陣もkz氏同様DJ文化圏で有名なクリエイターだけでなく、ボカロ文化圏やアニソン文化圏のクリエイターも目立ちます(そう思うとkz氏ってちょうどこの3文化圏の共通部分にいる存在なんですね)。

 

 最高のクリエイター陣による楽曲提供で送るアルバム、いったいどうなってしまうんだ……という気持ちが続いた中、Zeppツアーの各公演に合わせたり合わせなかったりしたタイミングで全12曲のワンコーラス試聴動画が順々に公開されていきました。試聴段階で全曲に良さがあることがわかりましたが、Fullではどうなってしまうのか……。

 

まあそんなこんなで、以下から「SMASH The PAINT!!」全12曲について、歌っているライバーと楽曲制作を担当したクリエイターの紹介を簡単にした後に楽曲のレビューをしていこうと思います。

 

……ここまでが前置きです。

3. 全12楽曲レビュー

 ライバー紹介では雑な人物紹介と個人的おすすめ配信アーカイブなどを1人1つずつ紹介、クリエイター紹介では簡単な紹介と個人的に好きな曲の紹介、楽曲レビューでは楽曲をレビューします。ライバー紹介ではライバー名の部分がチャンネルへのリンクにクリエイター紹介ではクリエイター名がTwitterアカウントへのリンクになっているはずです。漏れやミスがあったら教えてください。また、今まで私が聴いてきた音楽の傾向から各曲のレビューごとに結構ムラがあると思いますがご容赦ください。

 

 いっぞ!

M1: 3 倍!Sun Shine!カーニバル!

ライバー紹介

アンジュ・カトリーナにじさんじ公式美少女錬金術師ライバー。雑談がうまいNTR愛好家。戌亥とこ、リゼ・ヘルエスタとの同期3人「さんばか」として活動することも多い。イケボから放たれるおしゃぶりガラガラ哺乳瓶トークは本当によくわからん。

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戌亥とこ:歌うまケロベロス。歌がうますぎてカタギじゃないと言われることも多い。雑談もうまい。でも、あんスタ!(特に衣更真緒)の話になると限界オタクになる。「さんばか」では他の2人から一歩引いて笑ったり、面倒みたり、ちょっかい出したり。

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リゼ・ヘルエスタ:文武両道人望激アツプリンセス。同期のアンジュ・カトリーナとは幼なじみでコラボ配信も多い。雑談がうまい。配信はゲーム・雑談が中心。割と頻繁に陰のオーラが滲み出る。尊敬する人物は月ノ美兎。第一第二第三皇女かもしれない。

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クリエイター紹介 

作詞:烏屋茶房

近年はアニソンの文脈で目にすることが多いが、カラスヤサボウ名義でのボカロ曲も有名。キャッチーでポップな曲からいわゆる電波・ネタ曲的な振り切った曲まで楽曲の幅は広い。

www.youtube.com(1曲目の sweet sweet everytime sweet の作詞・作曲・編曲担当)

作曲・編曲:篠崎あやと

アニソンでは烏屋茶房氏とタッグを組むことも多い。橘亮佑氏とMassiveNewKrewとしての活動も。烏屋茶房氏と同様に王道からネタまで、作品の顔になる楽曲制作が特徴。最近は警察が出現している。

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楽曲レビュー

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SMASH The PAINT!!」の最初を飾るにふさわしいOP曲。最初FULLを聴いたとき爆笑しながら号泣してしまった。いやぁ完璧やったな。

数々のアニメ主題歌を担当してきた烏屋篠崎ペアによる「さんばか」の主題歌で、3人のいろいろな要素を詰め込みながらも、さんばかの日常の様子やリスナーへのメッセージが強く伝わってくる良曲。

鳴っている音も雑談配信でのBGMへのリスペクトが盛り込まれているのも好き。AメロBメロ内でも鳴っている音の景色やリズムがコロコロ変わっていって、良い意味でまとまりがなくあっちこっちでいろんな配信をしている様子が見えてきます。

合いの手パートではリゼ皇女のクソ真面目な不器用感が滲み出る。「Let's Go!」が「レツゴー」になったり、「Oh Yeah!」が「オイエー」になったりと、真剣な顔で収録しているのにアンジュがツッコミつつ戌亥が後ろで笑っているあの感じ(収録現場でアンジュがツッコミ入れる余裕があるのかは謎)。

 とにかくいつも楽しく配信し、お互いを信頼しあっているのを曲からも感じられたが非常によかったです。さんばかと一緒にこれから先いろんなものを見ていきたい。

あと、こればっかりは仕方ないんですが、3月5日に開催予定だったZeppツアー東京公演で聴きたかったですね〜。いつの日かライブでわちゃわちゃしながら歌えるのを願っています。

 

参考文献

 

M2: Not For You

ライバー紹介

にじさんじ長時間ゲーマー民の1人。にじさんじ内で累計配信時間が圧倒的首位。ゲーム中心ではあるが意外と悪ノリ企画にもちょくちょく顔を出している。葛葉と「ChroNoir」というユニットを組んでいる。声優の島崎信長と親交がある。ママ。

www.youtube.com (同期ライバー・赤羽葉子とのコラボ配信)

葛葉:ストイックな長時間ゲーム配信をする吸血鬼。独特なワードセンス。ドーラ、本間ひまわり、社築との4人ユニット「ド葛本社」の活動もちょくちょくあり、リアルイベントも開催された。

www.youtube.com(ド葛本社でのコラボ配信)

クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:ゆよゆっぺ

ボカロPとして知っている人も多そうなクリエイター。BABYMETAL楽曲の編曲の活動もありハードなサウンドが持ち味で、キャラソン・アニソンも担当することが多い。Naked Identity Created by King のボーカルとしても活動中。

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楽曲レビュー

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かっけ〜〜〜〜〜〜〜。

いわゆる2番最強打者理論に則った2曲目。

FULL自体はZeppツアー福岡公演で披露されたのですが、福岡公演は刺激が強すぎて正直楽曲どころではなかったので、今回のアルバムで初めてしっかりと楽曲に向き合うことになりました。

ゆよゆっぺ氏のハードなロックサウンドにふわっとして掴み所のない不思議な叶の歌声と葛葉のキリッとした煽りラップパートが映える曲。歌唱部分もChroNoirのツインボーカルを活かす構成になっており、曲全体としてメリハリがあり輪郭がくっきりと浮かび上がってくる。

Dメロがありえんかっこいい。2人それぞれの個性がバチバチにぶつかり合って、暴力的なかっこよさになっている。叶のがなり気味の張り上げた声と葛葉の真っ直ぐ突き刺すような声ってこんなに相性いいんですね……。

詞もとにかく自分たちが行きたい道を突き進んでいくという2人らしいメッセージになっている。 

2人の配信上での相性だけでなく、ツインボーカルとしての相性の良さを増幅させることに特化した楽曲です。Zeppツアーの円盤って本当に出ないんですか……。

M3: 1+1でQ.E.D.!!

ライバー紹介

御伽原江良:ギバラ。ちょくちょくバズる人。事あるごとに盛大に頭からコケる等身大のシンデレラ。ゲーム・雑談中心。家事はできないかもしれない。うるさい。ロリコン。るん!

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童田明治:11歳。11歳?。歌・ASMR・FF14と活動の幅は広い。歌がうまい。オケがオリジナルの歌ってみた動画を出したらYoutube著作権侵害措置を食らう事件があった。グラブルの古戦場の話になると声の高さがワントーン下がる。本当に11歳?

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:Nor

Future Bassど真ん中のKawaiiサウンドが特徴のトラックメイカー。読み方はノル。Vtuber文化圏ではキズナアイ氏への楽曲提供でも有名。YUC'e氏とは活動を共にすることも多く、beignetというサークルを2人で立ち上げている。

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楽曲レビュー

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Kawaii

AメロまではFuture Bass感控えめだけど、Bメロから片鱗を徐々にチラつかせてきて、サビでゴリゴリのKawaii Future Bassになる構成はもはやKawaii Future Bassのいないいないばぁ。

この曲は童田の3Dお披露目にもなったZeppツアーでFULLが披露され、2Aのエグいベーススラップで爆笑してしまったことをよく覚えています。御伽原江良さんと童田のKawaiiところが凝縮された曲で、普段御伽原江良さんを見かけないのでこの人こんなに可愛いんだ……と驚きを隠せません。

2B後のうんたん地帯はギバラのリズム天国配信と童田の歌がうまいのになぜかリズム感覚が壊滅的なところが同時に参照される部分になっていて、素直に上手すぎて唸らずにはいられない。

楽曲のテーマもいわゆる「御伽組(物述有栖・童田明治・御伽原江良)」のメンバーである2人に対して、証明・実験といった「科学」を当てて、そんなもん知らんといった様子から自分たちの世界でやりたいことをやっていく2人の姿がよく表現されています。

 

M4: 青春モード!もう1回!!

ライバー紹介

本間ひまわりにじさんじの元気印の関西っ娘。ゲーム中心。ゲームに対してはかなりスイトックだけどとにかく楽しい配信だらけ。母がとあるにじさんじライバーのファン。頭は良い方ではない。運営はライバーの体調に配慮をしたスケジューリングをしてください。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:HoneyWorks

ニコニコ音楽文化圏でおなじみのクリエイターユニット。青春系の楽曲が多く、にじさんじライバーにほファンが多い。楽曲を原作としたアニメ映画やTVアニメも制作された。

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楽曲レビュー

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「本間ひまわりの青春」を純度100%で表現した曲。どストレートもどストレートな本間ひまわりらしい曲です。

FULLバージョンはZeppツアー難波公演で初披露されました。本ひま歌唱曲はとにかく元気になれてよかったです。しっかりコール覚えた状態でライブを聴くとより一層強化された楽しさを味わえそう。

曲の構成はもうハニワ曲らしさ全開。本ひまの配信がひまぐま(リスナー)にとってのもう1回の青春であるとともに、本ひま本人にとってのもう1回の青春でもあるんですよね。そんなもう1回の青春をみんなで作っていく本ひまの生き様が難しい言葉を使わずに素直に歌い上げられていて、本ひまらしいなぁという感想以外が出てきません。

あと、ちょくちょく本人の言及もありましたが、デビュー当初は歌に対して消極的(歌うつもりは一切ないほど)だったのが、配信やイベントを通じて歌に対してポジティブに向き合うようになったのをひしひしと感じます。ソニー・ミュージックとの共同プロジェクト「しのごの」にも参加している本ひまですが、歌が本間ひまわりにとってのもう1つの青春になっていきそうです。

M5: サンデーサンデー・フルーツフール

ライバー紹介

える:エルフのえる。本名がやたらと長い。にじさんじ脳死・脊髄トークの源流。よう喋る。雑談・ゲーム中心。最近はオリジナル曲を出すなど歌に関しても精力的。ドコドコ・ヤッタゼ・ヴァルキュリア

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シスター・クレアにじさんじの良心。にじさんじの最後の清楚砦。でもなんだかんだでしっかり破天荒。雑談・歌・ラジオ・マイクラ中心。きっちりとした王国民。アイカツやデレマスにも造詣が深い。CuP。神の御加護があらんことを。

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クリエイター紹介 

作詞:八城雄太

キャラクターに寄り添った絶妙な歌詞をバンバン生み出す作詞家。デレマスでは最初期から現在まで楽曲への歌詞提供を続けていて、デレマスを支える重要な人物。

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作曲・編曲:石濱翔(MONACA)

音楽制作集団のMONACA所属。最近は歌物が有名だが劇伴作家としての活動も多い。しっかりとしたバンドサウンドからいわゆる渋谷系の可愛い曲まで幅は広いが、一貫して聴いていて気持ち良い曲にあふれている。

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楽曲レビュー

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曲としてはRun Girls, Run!に提供される石濱曲に近い印象がある一方で、えるさんとクレアさんのそれぞれのほんわかとした独特な可愛さ成分も曲に乗っかっていて、結果的に2人のちょっとオシャレな曲に仕上がっています。

えるさんは最近オリジナル曲をバンバン出していて歌にもかなり積極的ですが、オリジナル曲はどちらかというとかっこいい曲に寄っているのでこういった可愛いオシャレな曲はちょっと新鮮でした。

詞はおだやか日曜の1日を描くストーリーになっていて、2人それぞれの安定感があって落ち着く雰囲気が共存しています。「お別れ色の空にまたねしよう」は八城詞っぽさ全開で天才の詞。

Dメロ後の間奏は石濱曲の中のKawaii成分を煮詰めたパートになっていて、堀崎氏のKawaiiけどちょっとオシャレなギターソロが輝いています。ちなみに、クレアさんは王国民なこともあり、堀崎氏がギターを担当したことに感動する一幕も。

 

M6: Playtime Magic

ライバー紹介

加賀美ハヤト:。顔がいい。歌がうまい。ライブパフォーマンスでは刺激を受けたと他の男性ライバーからの証言多数。でも楽しくなってくると小学生になる。MTGや最近だとデュエプレやARK配信ではよくかがみくんになる。雑談枠では社長なのに大量の高額スパチャを投げられる。

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夢追翔:地獄の使者。司会の人。シンガーソングライターでもある。サイコパス。大型コラボの司会や企業案件の司会、ライブでの現地リポートなど運営から仕事を振られることも多い。忙しいのはわかるけどシンガーソングライトしろゆめお。

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緑仙:企画配信の源流の1人。他のライバー、Vtuberを巻き込んだ企画をやりたいようにやっている。雑談や歌動画も多い。歌から入ったファンも多い?顔と声が良い。他のライバーの個性を引き出すのに特化した企画すき。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:Avec Avec

シティポップの文脈を受けつつSynthpopの文化も合流させたサウンドが特徴のサウンドクリエイター。Seiho氏とのユニットSugar's Campaignではゲストボーカルを招聘した楽曲作成をしている。

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楽曲レビュー

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午前5時の新宿でle jouetの幻覚を観たときの曲。犯罪にかぎりなく近い。でも言葉通りの遊び心も散りばめられていて、le jouetのいろんな側面を一気に味わえる曲に仕上がっています。

曲はAvec Avec氏らしさに溢れていて、聴き間違いでなければところどころテンポがちょっとずつ歪んでいるのが幻覚感を強めてきます。普段かっこよさを前面にして殺しを行うle jouetの3人ですが、この曲の大半では3人のオトナな側面で堕としにきます。

とはいうものの、社長とゆめおのラップパートは2人の無邪気に楽しんでいる風景が観れたり、そのあとの緑仙のソロはいつものストレートなかっこよさを堪能できたり。

le jouetに弄ばれることに快感を覚えてしまう。3人ともみんな違うタイプの悪い猫。ダメです。

念のための参考文献

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M7: Radical Rabid Riot

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ジョー・力一:りきーち。ゲーム配信はほとんどせず、基本的にはトーク配信とちょいちょい歌配信。ネタ動画集も多い。プリキュアの映画は毎作品1人で観に行っている。同期の舞元啓介と隔週で配信するラジオ「舞元力一」は視聴者年齢層がやたらと高い。

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鷹宮リオン:鷹宮リオン様。愛すべきポンコツ(ときどきママ)。ゲームの他に歌、朝活など。SAOのキリトが好きだと言い続けていたら、コミックスの巻末イラストとコメントを寄稿することになった。「きちゃ」など数々のミームの発生源。3Dお披露目配信(特にラスト)は必見。

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竜胆尊:こんばんわじゃ。わらわ。鬼の女王。スケベ。ちっこい。いつも酒呑んでる。雑談中心だけど最近はゲームも多い。歌配信もけっこうあり、アニソンシンガー好き。奔放なお方で他のライバーをよく振り回して遊んでいる。鼻濁音が綺麗で好き。晩酌配信して。

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作詞・作曲・編曲:八王子P

ボカロ文化圏のテクノを牽引した重要人物の1人。重厚感のあるベースサウンドが特徴で、その上に乗っかるものはポップだったりダークな曲だったりと様々な曲を展開するクリエイター。

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楽曲レビュー

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元SEEDs2期生出身のトリオユニット「RRR」(読み:りりり、#R_R_R_)の公式曲。Zeppツアーの名古屋公演でFULLバージョンが初披露されました。RRRはいつも一緒に何かをしたいわけではないけど、定期的いろいろやっていきたいといった25年目の老舗バンドみたいな距離感のユニットという印象があります。

わちゃわちゃワイワイしているいつものRRRの雰囲気とは打って変わって、八王子Pの重厚なサウンドによってかっこよさを押し出してくる曲になっています。かっこいいしライブ映えもするしの天才楽曲。かっこいいリオン様好きなんですけど、普段の配信でなかなか見ることができないんで本当に助かりました。

個人的にデビュー当時はこの3人がユニットとしてこんな曲を提供されるなんて想像だにしていませんでしたが、普通ならありえない3人組がなんだかんだで集まって共鳴していくのはにじさんじの面白いところだと思っています。そんな3人がこの3人でしか作り出せない世界感を叩きつけてくる曲で、普段のイメージとは違うもののそういった意味でのらしさがあります。

ワンコーラスバージョンのプレミアム公開同時視聴枠で言及された2Aの例の「竜胆尊でございます!」コールはここまで綺麗に入ってしまうと、聴いてると勝手に口遊んでしまう。

参考文献

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M8: 圧 倒 的 存 在 感

ライバー紹介

鈴原るる美大生。人間かどうかはわからない。11時間にわたるゲーム配信のあと30分休んだあと7時間同じゲームの配信をした。長時間ゲーム多めで雑談や歌配信も定期的にある。ライブパフォーマンスはずば抜けており、影響を受けた女性ライバーも多い。蜘蛛は苦手。

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でびでび・でびる:悪魔。酒コアラ。趣味は映画。鷹宮リオンらとのコラボが多い。でびっちというニコ生主と面識があるらしい。悪魔ライバーとコラボをすると保護者的な役回りになることも。料理は上手ではない。

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クリエイター紹介 

作詞:まろん(IOSYS)

比較的最近(といっても2016年だけれど)にIOSYSに加入し、作詞だけでなく作曲編曲もする人。電波・アイドル・クラブの文化をごっちゃ混ぜにしたアウトプットを得意とする。

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作曲・編曲:ARM(IOSYS)

東方アレンジ界隈を牽引した札幌の音楽制作サークルIOSYSの創設メンバー。2010年代以降はアニメ楽曲や音ゲーへの楽曲提供も多い。電波曲の人の印象を持つ人が多いが、それと同時に実はハードコアの人。

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楽曲レビュー

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(デーーーービーーーーサーーーマーーーー)

††††††異界の扉が開かれた††††††

(ドヴゥァーーーーーーーーン!!!!!!デデッデデ-ゥデ-ゥ)

 

ゴリゴリのARM曲にコテコテのまろん詞がついてくるでびるる曲。でびるるの存在自体が電波みたいなところがあるので、IOSYS勢が楽曲提供は解釈通りというかそれはそうといった感じ。

クラブで聴いて叫んで全身動かしてブッ倒れて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。kz氏の警告通りドロップから人間性を失い始めてぐちゃぐちゃになっていく。

でび様の声と電波曲って合わないわけがないのを実証してくれて助かりました。

曲全体を通してあっちゃこっちゃにいってとっ散らかっているARM電波曲大好き。ARM電波曲でよく見受けられる技法ですが、この曲では特にサビでみられる七五調およびそのバリアントの畳み掛けが中毒性をより一層増しています。日本人の感性に訴えかけてくるWabi-Sabi電波スタイル。

今日からあなたもでびるる教†

M9: 煽動海獣ダイパンダ

ライバー紹介

笹木咲:やよ族。ゲーム中心。不憫シチュがとことん似合うガキ。でも後輩ライバーに対してはなんだかだで先輩的な振る舞いも。一度卒業するも復帰。やりたいゲームをギャーギャー言いながらやっている。煽った相手に勝ったことはおそらく一度もない。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:やしきん

 よく2コーラス目のAメロとBメロの順番が逆になる人。ネタに振り切った曲から王道ソングまでキャラクターや作品に寄り添ったストーリー性・文脈のある楽曲を創り上げる職人。

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楽曲レビュー

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個人的にこのアルバムで一番好きな曲。「海獣の夜は長い」の部分が詞もメロも天才。

一つ前の曲と並んでタイトルがおかしい曲でしたが、蓋を開けてみたら素直も素直な王道YASHIKIN-POP仕立て。やしきん曲らしく2コーラス目でAメロとBメロの配置転換がされている。

聴いてて笹木咲という人物像の核に素直さがあるんだなと試聴段階で感じていたのですが、FULLバージョンでそれをさらに強く実感しました。ゲームを楽しむのだったり発狂するのだったり、笹キッズ(リスナー)や他のライバーと煽り合うのだったり、今更どうしようもない後悔だったり、悲しみを隠しきれていない作り笑顔だったりと、笹木咲の生き様には彼女の素直さが根幹にある気がするんですよね。いろいろなことが起こる人生だけど、それでもみんなと楽しいことをして生きていきたいという彼女のある意味での死生観というか人生観のようなものを垣間見ることができる曲に仕上がっています。

また、開幕の囲碁将棋部だったり公式美少女だったり土俵だったりと笹木本人と彼女周辺の比較的最近のネタも散りばめられていて、「笹木咲のキャラソン」であり「やよ族の宮廷音楽」としても完成されている一曲です。

友情出演:囲碁将棋部泥棒猫泥棒されそうになった人

M10: Only

ライバー紹介

樋口楓:関西ヤンキー。でろーん。にじさんじの歌番長。Lantisからメジャーデビューが決まっている。同期の月ノ美兎とは配信外でも非常に仲がいい。歌がうまく絵のセンスも独特。ファンメイドイメージソングの全盛期以降も定期的にイメソンが作られている。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:YUC'e

トラックメイキングからボーカルまで自身で展開するアーティスト。Future Bass を基調にしつつ、クセになるメロディアスなフレーズが特徴。DJ活動も非常に精力的。

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楽曲レビュー

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ここからのJK組それぞれのソロ3曲に関しては、どの曲も「これまでとこれから」というテーマがあるように感じました。樋口楓によるこの曲「Only」では「これまでに感謝しながらこれからの1歩を踏み出す」曲という印象を持っています。

YUC'e氏のキラキラとしたサウンドを浴びせられつつも、どことなくノスタルジックなメロディーが特徴。夕日を浴びながら歩いているときに聴きたい曲。

最初に聴いたときに思い出したのは活動1年目のでろーんの姿でした。そもそもライバーを続けることだとか、活動に関する考え方などで家族と衝突するエピソードをちょくちょく漏らしていました。そういうこともきちんと自分の中で整理し考え直して、時々振り返りながら次のステージへ進んでいくことがこれまで迷惑をかけてきた人への感謝の仕方だというメッセージを感じます。気を使うけれど不器用な樋口楓らしい詞です。

メジャーデビューCDも間も無く(3月25日)発売になる樋口楓がこれからどのような道を進んでいくのか楽しみです。(追記2020年3月25日:メジャーデビューCDが発売されました。各種サブスクリンク

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M11: Aimless Story

ライバー紹介

静凛:長時間ゲーム配信の源流。声がいい。後輩から師匠的なポジションにされることも多い。声がいい。筋肉が好き。歌に対してはあまり積極的ではない。なんか存在がちょっとえっち。同期の月ノ美兎、樋口楓と3人でJK組としてにじさんじを牽引する存在。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:kz

言わずと知れたボカロ黎明期を支えたトラックメイカー。前述の通りこのアルバム制作において統括的な役割を担った。テクノサウンドを太い軸にコンテンツの顔になるプロダクトを量産している。

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楽曲レビュー

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この曲は「Only」とは対極的に「無限の可能性に溢れるこれから」に焦点を当てた曲。

kz氏の浮遊感がありつつもしっかりとしたテクノサウンドにしずりんのちょっと張ってはいるものの落ち着いた歌声が乗っかることで、一種のASMR的な側面もある作品になっています。

Aimless Storyというタイトルが良いですよね。語感が近いワードだとEndless Storyというワードが浮かび上がりますが、そんなものは当然いつまでも続くもので、どうなるかわからない物語をこれまでの物語から一緒に作り上げて行こうという未来志向。静凛個人だけでなく、バーチャルライバーが進んでいく姿とはどういうものなのかということをこの曲で改めて見せられた気がしました。

 

M12: アンチグラビティ・ガール 

ライバー紹介

月ノ美兎:委員長。雑談・ゲーム中心。エピソードトークがどれも謎が深くも面白く、リスナーをよく困惑させる。女児ノ美兎。エンターテイナー。最近の出来事を紙芝居形式でトークしたりする。趣味は映画。

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クリエイター紹介 

作詞:MCTC

作曲・編曲:TAKU INOUE

イノタク。バンダイナムコの音楽クリエイターとして数々のゲームコンテンツで楽曲提供やアレンジを手がけた。クラブミュージックとポップミュージックが様々な比率で融合された楽曲群が特徴。

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楽曲レビュー

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大円団。このアルバムの最後を飾る最高の曲。

アンチグラビティ・ガールというタイトルのとおりスペース的な(?)サウンドがガンガンなっている中、月ノ美兎が終始楽しそうに歌っている曲です。

タイトルのアンチグラビティ・ガールの通り、誰にも縛られず自由に楽しいことをやっていきたい無邪気で自由奔放な月ノ美兎が描かれているのですが、その一方で月ノ美兎という巨大質量の存在に引き寄せられて1つの文化が形成されているということ改めて実感させられます。もちろん全ライバー、全Vtuberそれぞれが作り上げていく世界があるのですが、月ノ美兎が開拓していくB級な世界は本当にいろんな人を引き寄せて、巡りめぐってこんなアルバムができるほど人を動かすんですよね。それでもやっぱりその世界を切り開いていく原動力は「笑ってたい!」なわけで。月ノ美兎はこれまでもこれからも月ノ美兎なんだなという安心感と期待感に涙を流す1曲でした。

 

4. 終わりに

駄文長文になり申し訳ないです。なんだかんだで2年と少しの間追い続けているにじさんじがこんな集団になってしまったんだなというのは、このアルバムを聴き、こうやってレビューを書いても未だに信じることができていないです。ミラティブで配信していた頃とか、SEEDs一期生のデビューとか、思い出せばいくらでも回顧できるのですが、どれもつい最近のように感じます。それでもその頃から結構経って当時同じところもありながら、こんなにも大きなVtuber集団に成長したこと、これからどんな景色を見にいくことになるのか全然わからないことけどそれを楽しんでいくということをこのアルバムを通じてゆっくりと咀嚼していきたいです。

もちろん全ライバーの全配信・アーカイブを追えているわけでもないですし、楽曲提供をされたクリエイター陣の全楽曲を聴いたわけでもないです。さらにそれ以外のVtuberの世界や音楽なんてこの世に大量にあるわけで、こうやって受け取る側も自分だけの世界観を大事しなければなと思わされました。

まとまりのない稚拙なレビューでしたが、にじさんじやV界隈、あるいは楽曲クリエイターの世界に足を一歩進めるきっかけになったらそれ以上の喜びはありません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

一緒にせいいっぱいこの世を生きましょう!