【われにかへれ】杜野凛世とプロデューサーの夏的平衡 −G.R.A.D.を経て完成した杜野凛世という名の「悲しきアイドル機関」−

 要旨

 2020 年 8 月 11 日、アイドルマスターシャニーカラーズ(シャニマス)にて「期間限定 夏的平衡 凛世・咲耶スタンプガシャPlus」が実装された。シャニマスで登場するアイドルの中でもいわゆる「Pラブ勢」の一人として知られる杜野凛世であるが、P との関係を鮮やかに描いた G.R.A.D 編のコミュ公開後初の pSSR 実装となり多くの注目を集めた。この研究では今回実装された【われにかへれ】杜野凛世のガシャタイトル「夏的平衡」に注目し、熱力学・熱機関とのアナロジー・言葉遊びからG.R.A.D.を経た杜野凛世のアイドル像について考察をした。その結果、現時点での杜野凛世は少女でありアイドルでもあることを利用した、いわば「悲しきアイドル機関」であることを提案した。

 

注意:杜野凛世のG.R.A.D.および【われにかへれ】のコミュに関するネタバレが多分に含まれます。) 

 

はじめに

 杜野凛世はシャニマスに登場するプロデューサーへ恋心を抱く描写が公式で描かれる「Pラブ勢」のアイドルの一人である。これまでのコミュではプロデューサーに対する恋心だけでなく、アイドル・杜野凛世であることに対する苦悩を技巧的なストーリー・演出によって表現されてきている。特に、2020 年 5 月に実装された G.R.A.D. 編では一人の少女としての杜野凛世とファンの前に立つアイドルとしての杜野凛世とが本人の中でどのように共存してくべきか葛藤し解決を目指す過程と、その努力をする凛世が必死に伝えようとしていることにきちんと耳を傾けなければと心を改めるプロデューサーが描かれた。

 2020 年 8 月 11 日に実装された期間限定ガシャ「期間限定 夏的平衡 凛世・咲耶スタンプガシャPlus」は pSSR の実装が強く待望されていた黛冬優子・三峰結華が登場する 2 つの期間限定ガシャに続く三連続の期間限定ガシャであることと、妄想こそすれど公式で出るとは誰しもが想定していなかった思い出アピール演出によって多くの反響が寄せられた。杜野凛世個人に注目しても、pSR 以上の実装はこちらも思い出アピールの演出で多くの P を苦しめた pSSR【十二月短篇】(2019 年 12 月、限定)以来となるものであり、G.R.A.D. を経た杜野凛世とプロデューサーの関係がコミュで描かれることが予想され、杜野凛世とプロデューサーの関係を見届ける人々の間に確かな期待とともに大きな不安が生まれることになった。

 本書では、ガシャタイトルである「夏的平衡」に重点をおいて、主に G.R.A.D. から【われにかへれ】にかけての杜野凛世とプロデューサーの関係を考察する。最初に G.R.A.D. について簡単に振り返り、それを踏まえ「夏的平衡」に注目し熱力学・熱機関とのアナロジーや言葉遊びを押さえながら【われにかへれ】のコミュについて考察する。

 

G.R.A.D. の概説

  G.R.A.D. (Grand Repute AuDition) はユニットとしてではなくアイドル個人として競い合い頂点を決める公開オーディション番組である。アイドルたちがそれぞれの壁と向き合うことになる G.R.A.D. であるが、杜野凛世は G.R.A.D. 出場と同時にネットドラマの出演が決まり、杜野凛世が演じる少女たちと向き合うことを通じて周囲からの評価と杜野凛世がなりたい在り方をじっくり見つめ直すことになった。

 ドラマ内で身寄りのない少女はとある博士に拾われ、下働きとして生活していく中でその博士を慕うことになる。そんな少女が一人呟いた「会いたい」という言葉を他の誰かに向けたものだと思い込んだ博士は、少女が二度とその言葉を言えなくするために少女から「あ」以外の言葉を奪い、外見が全く同じ AI の少女 β に「あ」以外の言葉を全て移植した。その結果、少女 β は博士の側で暮らすことになる一方、「あ」を奪われたオリジナルの少女 α  は屋敷の外で生活することになる。少女 α は博士の側に居られる少女 β を羨むが、少女 β は博士が本当に愛しているのは少女 α であることを知っており、二人になった少女は持っていないもの・与えられないものを互いに羨ましく思っていた。

 この役を演じるにあたって、役作りとして杜野凛世はプロデューサーの前では少女 α として、レッスン中トレーナーの前では少女 β として会話をすることでドラマの収録に臨む。そんな中、杜野凛世はレッスンの際にトレーナーから、杜野凛世は少女 β のようで人の心を動かす情熱が足りない、と評されてしまう。W.I.N.D. 編でプロデューサーを慕うだけでなくアイドルとしての楽しみを見出した杜野凛世であったが、ここにきてアイドル杜野凛世としてだけではファンの心を動かせないと言い下されてしまったのだ。

 この発言がきっかけとなり調子を崩した杜野凛世はプロデューサーから可能な範囲での休養を与えられるが、ある日携帯電話の電源を切り、二人の少女を通じて杜野凛世自身と向き合う。一方でプロデューサーは連絡がつかないことに動揺し、必死に杜野凛世の所在を各所に問い合わせる。もう一度杜野凛世に電話をかけ、応じた杜野凛世の後ろで鳴る波音を頼りにプロデューサーは杜野凛世の元へたどり着く。再会を果たしたプロデューサーは杜野凛世が何につまづいているのかがわからないと告白し、それに対して杜野凛世には少女 β のままではステージに戻れないと答える。プロデューサーはそんな杜野凛世は既に「あ」も「あ」じゃない言葉も両方持っていて、その両方をアイドルとして好きなように発露してほしいと話し、杜野凛世は『あいたかった』と応えるのであった。

 時は流れ、二人のもとにドラマ最終話の台本が届く。少女 α と少女 β は互いに求めるう物を与え合おうとしたが共に会得することはできず、博士も含めた 3 人は決して幸せとはいえないそれぞれの最期を迎える。しかし、博士が死に際して少女 β が博士のまぶたの近くで囁いた『ーいたい』の頭の一音は限りなく「あ」に近い響きを残した。

 この台本をについて考察する二人であるが、今の杜野凛世は少女としての杜野凛世とアイドルとしての杜野凛世がいるために情熱の籠もった声を発することができることがわかったと伝え、プロデューサーは杜野凛世が発する言葉、そして杜野凛世の心にしっかり耳を傾けなければならないとこれからの杜野凛世との接し方を改め直すのであった。

 以上の通り、G.R.A.D. 編では少女としての杜野凛世とアイドルとしての杜野凛世がそれぞれどのように在るべきか、どのように共存するべきかを解決するコミュであった。プロデューサーも杜野凛世の心・言葉に寄り添えていなかったことを反省した。新規プロデュースモードにおけるコミュだけあって、杜野凛世自身およびプロデューサーとの関係が共に大きく変容する様子が最高の脚本・演技・演出によって鮮やかに描かれた。

 

あかとあお、そして「むらさき」

 【われにかへれ】のコミュは撮影の仕事のために杜野凛世とプロデューサーはバスに乗って人里離れた海沿いの街に数日間滞在する内容だ。1つ目のコミュ「夏雲だけを覚えてゐる」では仕事とはいえ二人での旅行ともとれる状況に杜野凛世は現実味をおぼえないほどに気分が高揚し、心躍る様子が描かれ、少女としての杜野凛世がより強く顕現させる。

 続いて 2 つ目のコミュ「むらさき」では二人でかき氷を食べるシチュエーションが描かれる。杜野凛世は赤いいちご味、プロデューサーは青いブルーハワイ味のかき氷を食べ、それぞれのシロップの色に染まった舌を見せ合い笑い合う。雑誌用の写真としてシロップの赤色で染まった舌を出した杜野凛世をプロデューサーが写真に収めると、杜野凛世は同じようにプロデューサーを自らの携帯で写真に収めたいと申し出る。しかし、杜野凛世の携帯ではなくプロデューサーの携帯で撮るように促したり、かき氷の器を撮ることを促したりなど、全ての選択肢においてプロデューサーはその申し出を完全に受諾することを拒否する。どの選択肢にも共通して、アイドル杜野凛世の携帯にプロデューサーの青いかき氷や青いシロップで舌を残してはならないと考えがプロデューサーの言動の根底にあることが描写される。そんなプロデューサーの言動に対し、杜野凛世は赤と青が混ざった「むらさき」にしてしまえばよかったと内心思うのであった。

 さて、「赤」と「青」という二つの色は杜野凛世を彩る重要な色である。赤い瞳、紅葉、十二月短篇の赤いドレス、そして、青髪、ユニット衣装カラーの青、水色感情、今回のギャルりんぜの青メッシュといったように、杜野凛世の世界には必ず赤と青が混在する。少女としての杜野凛世を赤、アイドルとしての杜野凛世を青としたとき、G.R.A.D.編を通じて赤の杜野凛世と青の杜野凛世が共存し、「むらさき」の杜野凛世としてあることにたどり着いた。

 一方で、今回の赤と青は上記のメタファーとは異なり、明確に赤を杜野凛世、青をプロデューサーとしてコミュが進行される。プロデューサーを慕う少女の側面が強い状態の杜野凛世は赤と青が混ざって「むらさき」になってしまえばいいのにと思うのに対し、プロデューサーは確固としてその二色が混ざってはならないという姿勢を貫く。

 色が混ざるという現象は熱力学でいう不可逆過程の重要な例の一つであり、混ざった色から元の二色に戻すためには外界に何かしらの変化を残さなければならない。杜野凛世の赤とプロデューサーの青が混ざるということは、「不可逆」という言葉に注目すれば杜野凛世とプロデューサーが恋仲になってしまえばもう元の関係に戻れないこと、「不可逆過程」に注目すればたとえ元に戻れたとしても周囲に何かしらの影響が残ってしまうことを表すことになる。どちらにせよ、杜野凛世とプロデューサーの間に明確な隔たりがある状態こそが、二人にとってのこの夏のあるべき「平衡」な状態であると青のプロデューサーが考えている。それに対して赤の少女・杜野凛世がある意味で冷静さを失って赤と青が混ざることを願う様子は、青いプロデューサーの冷静な態度との残酷な対比として描かれた。

 

杜野凛世という名の「悲しきアイドル機関」

 3 つ目のコミュ「こもれ 日」では杜野凛世とプロデューサーが土産物を買いに行くシーンの回想から始まる。杜野凛世は放クラのメンバーと同じ寮に住んでいる他ユニットのアイドル、そして同行するプロデューサーにお土産を買うのだとプロデューサーに告げる。しかしプロデューサーは「いや、もったいないよ そんなのいいから」と言い放ち、杜野凛世の好意を真っ向から無下にする。その回想が終わり、杜野凛世が部屋に引きこもり、ドア越しにプロデューサーが問いかける場面へと移る。ここでもコミュタイトルにスペースがあるように、杜野凛世とプロデューサーがドア越しに会話するといった二人の間の隔たりが徹底的に表現される。杜野凛世の心情を掴めないために「ほ、放っておいて……くださいませ−−−−」と拒絶の意思を示されたプロデューサーは一度部屋の前から立ち去る。一人考え直すプロデューサーはお土産の件に思考が巡る。改めてお土産の件について話そうと杜野凛世は眠ってしまっており、G.R.A.D.を経て杜野凛世の心に耳を傾けると誓ったプロデューサーは少女・アイドル双方の杜野凛世の心に耳を傾けられなかったことを一人反省する。

 ガシャ画面のセリフにも登場した「放っておく」ということは平衡(equilibrium)という概念と密接に連関する。外部とのやりとりがない孤立した対象は十分な時間が経てば平衡状態、すなわち対象にマクロな状態(対象を構成する各要素ごとの性質ではなく対象全体としての性質)の時間変化と流れがない状態に緩和する。このコミュを杜野凛世の視点から見ると、普段とは違う環境で大きく精神状態が変化していた杜野凛世がプロデューサーと距離を置く。一人で疲れて寝てしまい起きた杜野凛世はプロデューサーに拒絶反応を示した少女側に寄った杜野凛世ではなく、少女とアイドルが共存する「普段の」杜野凛世であった。

 4 つ目のコミュ「月があたらしい」は撮影の仕事直後の杜野凛世とプロデューサーの会話と、不貞寝から目を覚ました直後の杜野凛世とプロデューサーの会話が織り交ぜられながら始まる。後者の会話では、杜野凛世はプロデューサーに伝えたいを全て伝えることを約束させられ、プロデューサーは杜野凛世から聞きたいことを全て聞くことを約束した。その会話の回想を踏まえつつ、仕事直後の杜野凛世は蛍が飛んでいた沼へ行きたいとプロデューサーに伝える。沼へ着いたプロデューサーは杜野凛世の「放っておいてくださいませ−−−−」から杜野凛世が本当に伝えたかったことを聞き取れていないと自省をしている傍ら、杜野凛世は蛍と月の明かりで満たされた沼へと足を踏み入れる。杜野凛世が点滅する蛍は一体何を言っているのかとプロデューサーに問いかけると、プロデューサーはやはり「……聞こえたらいいんだけどな」と答えることしかできなかった。

 さて、ここで急に話が変わるが、熱機関という概念について考えよう。熱機関は車やバイクなどのエンジンの主要な構成機構であり、吸収した熱エネルギーを力学的な仕事(物を動かす「馬力」)に変換するものである。例えば、ガソリンで駆動されるエンジンでは、燃焼したガス(薄いガソリンと空気が混合したもの)が燃焼した際の膨張によってピストンを押し出し、燃焼の熱エネルギーをピストンが運動するエネルギーへと変換する。

 ここで、【われにかへれ】における杜野凛世の精神的状態の遷移を下図の通り熱機関になぞらえて考察する。

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1. G.R.A.D.を経て少女としての杜野凛世とアイドルとしての杜野凛世の隔たりをある程度取り払った状態であったが、半ば二人きりの旅行とも言える状況に置かれることによって杜野凛世の中のほとんどの杜野凛世が少女としての杜野凛世に圧縮される(図中・過程1)。これは普段の生活からバスに乗って遠出する過程が当てはまるだろう。

2. 二人きりの環境に置かれた少女側の杜野凛世は、プロデューサーへの感情を否定されることによって少女側に寄った状態のままフラストレーションが溜まり、エネルギーの高い状態になる(図中・過程2)。これはまさに「むらさき」「こもれ 日」のコミュにおいて描写されている内容だ。

3. 一度エネルギーの高い状態になったものの、少女側に寄っていた杜野凛世はほとぼりを残しながら少女とアイドルの双方である杜野凛世へと戻る(図中・過程3)。この過程は熱機関において力学的な仕事を取り出す過程であるが、【われにかへれ】においては少女・杜野凛世としてのフラストレーションが撮影の「仕事」へと変換される過程を表している。

4. これは少し強引であるが、沼に足を踏み入れることで少女とアイドルの双方である杜野凛世に残ったほとぼりを放出していると考えられる。かなり論理の飛躍はあるが、この放出されるものは「仕事」ではなくプロデューサーにのみ魅せるものであり、今回では「あたらしい」月の明かりと蛍の光に照らされた杜野凛世の美しさとして具現化されたと考えてもよいだろう。

 

 以上の通り、【われにかへれ】のTrue End 以外コミュのは以上のサイクルに相当すると言えるだろう。G.R.A.D.を経てアイドルと少女の双方の隔たりをある程度取り払うことができてしまった杜野凛世は、少女側に偏った状態で恋愛感情を受け入れてもらえないフラストレーションを原動力として輝く「悲しきアイドル機関」というべき存在になってしまったのだ。アイドルである以上その恋愛感情が成就することはもちろん難しいが、【われにかへれ】におけるアイドル杜野凛世の輝きは悲恋のみによって生成されたものだということになる。これまでも杜野凛世の恋愛感情が伝わらない描写はあったものの、悲恋とアイドルとしての輝きが等価なものである状態は杜野凛世にとって(杜野凛世でなくても)非常に不健全なものだろう。

 

まとめ

 今回、ガシャタイトルの「夏的平衡」をヒントに、【われにかへれ】のコミュに対して熱力学とのアナロジー・言葉遊びから考察を行った。「むらさき」では、二色の異なる溶液を混合することが熱力学の不可逆過程の一例であることに注目し、当然のことではあるが杜野凛世とプロデューサーが恋仲になることが禁忌であることが改めて突きつけられた。「こもれ 日」では、仕事を控えるも少女側に寄り感情が昂っていた杜野凛世を「放っておく」ことによって、杜野凛世が少女とアイドルの双方の側面をもった平衡状態へと緩和させる場面を描写していた。また、「月があたらしい」までの杜野凛世の精神状態の推移と熱機関との対応を考えることによって、G.R.A.D.を経て杜野凛世はアイドルとしての輝きが悲恋によって駆動される「悲しきアイドル機関」という構造を確立したと考察した。

 杜野凛世は出会いから様々なコミュを経て成長し、変化してきた。明日の夏雲は一体どのような形をしていて、スマホはピントを合わせて写真に収めることができるのだろうか。

 

最近よく聴いていた曲とか(2021年の8月上旬時点)

 お久しぶりです。

生活が壊れたり、転職(就職)をしたり、家庭環境が変わったりと色々あって前回の最近よく聴いていた曲から一年とちょっとが経ちました。

 

さすがにそれからこれまでの期間を全部振り返るのは無理なので、最近のものをいくつかピックアップしていこうと思います。 

 

4g02の「202108」をApple Musicで

 

1. Mr.fallin' / 菅沼千紗

作詞:菅沼千紗

作曲:竹内アンナ

編曲:フワリ(Dream Monster) 

song.link

アイドルマスターシャイニーカラーズ』田中摩美々役などでおなじみの菅沼千紗のニコ生番組『菅沼千紗の魅力に落ちるチャンネル』のテーマソング。

 

竹内アンナのブラックミュージックを下地に持つ世界観をいわゆる声優アーティストの楽曲にうまく落とし込んでいます。

 

ところで Dream Monster のフワリってボカロ P のふわり P だったりします?

(ブラスの使い方がどことなく似ている気がする……?)

 

song.link

 

(追記)

そういうわけでもなさそう

 

 

2. めいど・うぃず・どらごんず♥  / スーパーちょろゴンず

作詞:松井洋平 

作曲・編曲:星銀乃丈

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いやこれは田中秀和(MONACA)から生まれて y0c1e に育てられた人でしょとなる曲。

サビに至っては田中秀和(MONACA)的解釈の M@STERPIECE みたいなところもあって、巨大なリスペクトと愛と意気込みを感じます。

 

 

 3. Rapaz Folgado / MUJI BGM

song.link

 

無印良品の店内 BGM がサブスク解禁されるという事件が起こり、仕事や料理のときなど人生に生活感を出したいときに非常に役立っています。

www.muji.com

 

BGM 13 というタイトルの通りたくさんの地域での現地録音の BGM が公開されているので、お好みやシーンに合わせて活用してみてはどうでしょう。

 

 

4. むしゃむしゃおそうじ / 小鷲翔太  

song.link

 

ぼちぼち流行も過ぎ去りつつあるようなそうでもないようなモルカーの劇伴。

劇伴といっても 1 曲 に鳴き声以外の音声全部が丸々 1 話分そのまま収録されています。

メインテーマである「モルカーのテーマ」のモチーフをきちんと引用しながら、ほぼサイレントアニメであるこの作品の音部分を一手に表現しています。

回ごとに引用してくる音楽ジャンルもコロコロ変わっていて、この劇伴単体だけでも音楽としても物語としても十分楽しめるものになっています。

 

 

5. 恋は太陽 ~CIRCUS!~/ スタァライト九九組

作詞:中村彼方

作曲・編曲:三好啓太

song.link

  

個人的暫定ベスト三好啓太曲がサブスク解禁されています。

大正ロマン的なタンゴ調の歌謡曲少女☆歌劇 レヴュースタァライトに持ってくるのはストレートながら天才。

まだ観てない人はアニメを見よう(なおこの曲は本編では流れない)。

anime.dmkt-sp.jp

 

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がっつり繁忙期真っ只中ですが、何とか生きて帰ってこようと思います。

 

それではまた。

最近よく聴いていた曲とか(2020年5月前半(?))

 

エアコンの掃除をしたらすごく汗をかいてビビりました。

定期的なお手入れは大事。

 

1. 忘れないで  忘れないで / サンボマスター

作詞・作曲:山口隆

編曲:サンボマスター

song.link

 

サンボマスターの新曲。

まあいつものサンボマスターだなぁと思いはするものの、なんかメロとギターの重ね方とかがちょっと新しい雰囲気がある気もする。

最近仕事がひと段落した夕方の時間帯にこれを聴きながら最寄りのマックにチーズバーガーとチキンクリスプとマックシェイクチョコレートSを買いに行くことが多い。370 円。

 

2. ハチミツ時間 三好紗耶ver. / 三好紗耶(中原麻衣)

作詞:辻 純更

作曲・編曲:岡部啓一(MONACA

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もはや懐かしアニメ「サーバント×サービス」の ED 曲。

一種の ASMR 曲で最近寝る前にかけている。ゆったりしてはいるものの、オケのバリエーションが豊かで一曲全体での構成がドラマチックに動いて、最終的に良い着地点にすぽっと収まる名曲。

中原麻衣の「しゅ」すき。

山神ルーシー(茅野愛衣) 歌唱ver. も千早恵(豊崎愛生)歌唱 ver. もすき。 

 

3. Cloud Diver (feat. 星宮とと) / TEMPIME feat. 星宮とと

作詞・作曲・編曲:KABOSNIKKI(TEMPLIME)

song.link

 

ネオンライトでおなじみのみんなだいすき TEMPLIME feat. 星宮とと。

正確にはアルバム単位でよく聴いていた曲。

本当にアルバムとして完成されていてビビる。夜中のラクガキからの流れがすげ〜んすわ。昼でも夜中でも、どの時間に聴いても違った味わいがあるので飽きることがない良アルバム。

もう夏ですね〜。

 

4. ハレ トキドキ メランコリック / ここなつ

作詞:栗原暁(Jazzin'park)

作曲・編曲:栗原暁(Jazzin'park)/Mitsunori Ikeda.

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 しっかりがっつり future bass。

今までいまいちここなつに入り込めなかったけれど、この曲でしっかり持ってかれましたね。

ひなビタは曲しか追っていないので、今後時間があるときにコンテンツ全体を回収していきたいですね(厳しそう)。

 

5. わが名は小学生  / 丸井みつば (高垣彩陽), 丸井ふたば (明坂聡美), 丸井ひとは (戸松遥)

作詞・作曲・編曲:前山田健一

song.link


前山田健一の最強アンセム。勝ち。

 

6. Blue Sky Blue  / ROUND TABLE

https://www.amazon.co.jp/TV%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%83%A1%E3%80%8C%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%A7%E3%82%82%E7%94%BA%E3%81%AF%E5%BB%BB%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B%E3%80%8D%E3%82%AA%E3%83%AA%E3%82%B8%E3%83%8A%E3%83%AB%E3%82%B5%E3%82%A6%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%8CGO-ROUND-TOWN-%E3%80%8D/dp/B0047XL3IY

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アニメ「それでも町は廻っている」の劇伴から一曲。

仕事中いろいろ劇伴流しいてるんですけど、懐かしさも含めて、改めていい曲だなぁとなったやつ。

ジャズを軸にしっかり渋谷系テイストが混ざって作業曲としても休憩時間曲としても有用。きちんとアニメの方も観直さないとな〜。

 

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最近シャニマスしかしとらん。

 

それではまた。

最近よく聴いていた曲とか(2020年4月)

在宅の結果毎日ピザを食べるようになった人、4g0_2です。

5月1日は実質4月。

 

環境は色々と変わりましたが、Music Unity 2020 だったり無観客ライブの配信だったりとインターネットに生きているのを改めて実感する機会になっている人も多いかと思います。

 

今月よく聴いていた曲たちのプレイリストです。

4g02の「202004」をApple Musicで

この中からいくつかピックアップしていきます。

1. Peaceful Days / 高橋竜

作詞・作曲・編曲:吟(BUSTED ROSE)

song.link

TVアニメ(アニメ?)「ギャルと恐竜」の ED 曲。高橋洋子の双子の姉(?)・高橋竜子の声とマッチするシティポップ調の曲で、パステルな原作とはちょっと離れているように見せかけて詞もきっちりと本質を捉えているのがテクい。キングレコード制作のテレビ作品は色々と意見があるとは思いますが、原作者の許可が出ているならああいった映像作品のオムニバスがテレビで放映されるのは非常に良い形式だと思います。その流れで俺妹みたいに毎回 ED が変わるようなスタイルもまたみてみたいなと思ったり。

 

 

2. to the moon  / Yogee New Waves

作詞・作曲:Kengo Kakudate

編曲:Yogee New Waves

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テレビ東京のドラマ25「ひとりキャンプで食って寝る」の主題歌。こちらもシティポップ感のある曲で、浮遊感のあるシンセサウンドが深夜作業にとても合うのでよく流しています。深夜のエモ曲。

 

 3. よりみちサンセット / 放課後クライマックスガールズ

作詞:古屋実

作曲:小久保祐希、YUU for YOU

編曲:YUU for YOU

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アイドルマスターシャイニーカラーズのユニット・放課後クライマックスの「THE IDOLM@STER SHINY COLORS FR@GMENT WING 04」のカップリング曲。アイドル・ヒップホップと放クラらしい歌詞が融合した、タイトル通りの夕方激エモ曲。「あの時計 ズレてるんだよって」の質感すごいですよね……、どんな生活をしていたらこんな詞が出てくるんだ……。シャニマスは異次元のコミュの質の高さに負けない表現の詞・曲が多くて、コンテンツを通して人物・ユニットを描こうとする姿勢がシャニマスの沼気質を作っているんだなぁと実感します。

 

4. NEW STANDARD with Sunaga t experinece / SOFFet 

作詞:YoYo・GooF

作曲:YoYo

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 ジャズテイストの曲にラップを重ねるスタイルが上手かったり、かと思いきや普通にポップスをやっていたりな SOFFet須永辰緒氏のソロユニットとのコラボ曲。SOFFet といえば高須クリニックのCM曲でおなじみですね。あの人たちです。終始優しくて多幸感のある曲でありながら詞や構成から新しい挑戦への野心みたいなものも見え隠れしていて、作業中にブーストをかけるときに聴くと非常に高まります。あとこれはあまりにも個人的な感覚なのですが、この曲はデレマスの村松さくら・大石泉・土屋亜子によるユニット・ニューウェーブと紐づけられていて、聴くたびにニューウェーブに声ついてくれ〜の気持ちになってしまう。

 

5. シャイノグラフィ  / シャイニーカラーズ

作詞:古屋実

作曲・編曲:ヒゲドライバー

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シャニマス 2 周年曲。カップリング曲の Dye the sky. がテクニカルな面を打ち出している曲であれば、この曲はとにかく純心で真っ直ぐに力強く羽ばたくアイドル像を描いた王道曲。サビのメロディーの1音ずつシンプルに上昇していく感じが本当に好きで、サビ後半のメロ(1サビの「この空をキャンバスにして」)の部分は実際に声を張って歌うとめちゃくちゃ気持ちいいんですよね。全力のアイドルを表現するために用意され、全力で歌うと気持ちよくて、取り繕わない素直な魅力が引き出される装置として非常に優秀な曲だと思います。

 

 

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4月は曲を書くこともなく、ひたすらに仕事の合間にアコーディオンの練習をして左腕を痛めていました。ようやく左右の独立した運動を無意識的に行うことができてきて、いよいよこれからだなという感じです。成熟したらアコーディオン音源とかも作っていきたいですね。

 

Over The Sea by 4g0_2 | 4g0 2 | Free Listening on SoundCloud (10分ぐらいでつくったもの)

 

それではまた。

最近よく聴いていた曲とか(2020年3月後半)

しばらく完全に自宅作業民です。周りに人がいない安心感、作業効率をあげるもの。

 

先日にじさんじのオリジナルアルバムのレビューを書きました。内容の7割ぐらいがレビューではなく紹介記事になっているので、にじさんじの入門的に読んでもらえたらとも思っています。それはそうとして、にじさんじレーベルはサブスクなくてもいいから早く配信販売をしてください。

norimakijigoku.hatenablog.com

 

2020年冬クールが終わり、劇伴音源もぼちぼち出始めたのでそれも含めての選曲になります。

4g02の「202003_1」をApple Musicで

1. ちっぽけな願い事 / 桜井美景(CV:東山奈央

作詞・作曲・編曲:伊賀拓郎

song.link


TVアニメ「恋する小惑星サウンドコレクションに収録されているキャラソンなんですが、この曲は劇伴曲「ワクワク!」のアレンジになっているんですよね。劇伴の方の初出は 1 話の 2:18 あたりからとかなりの古参曲で、その後何度も地学部の日常シーンなどで登場します。

伊賀拓郎の劇伴アレンジ歌物楽曲といえば「わたてん!」のミュージカルが記憶に新しいですが、アルバムとして劇伴曲を振り返ったあとのキャラソンで劇伴を回収されると脳汁がどばどば出てきます。歌物と劇伴が相互に絡み合うことで音楽からキャラクターやストーリーの輪郭がくっきりするの好き〜。

2. Har feeling blow up  / Funta7

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ましゅまいれっしゅ!! 6 話の海辺の告白シーンの曲です。Funta劇伴ってなかなか最近聴く機会が少ないんですんが、振り返ればドクタースランプ(リメイク)の劇伴をやった人でもあって、実は思ってたより幼少期から耳にしているんですよね。

この曲は例のシーンのだんだん気持ちが昂って気持ちをぶつけ合う情景に沿った展開になっていて、マシマヒメコ!!!!!!!!になるやつ。マシマヒメコ、いい女。

八月のシンデレラナインといい、女と女の6話というのが最近のトレンドなのでしょうか。女と女の場面をたくさん観たいです。

 3. ドタバタにゃんこバトル! / 立山秋航

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2012年の TL を作るアニメで有名なTVアニメ「ネコぱら」サウンドコレクションアルバムより。立山秋航氏といえば「けものフレンズ」や「ゆるキャン△」で有名なあの人です。

この曲もタイトル通りドタバタしているんですけど、芯に立山氏のケルト音楽に対する理解と表現の仕方を激烈に感じてやべ〜となる曲です。ケルト音楽の流れを下地にしながらフォークやラテンにも飛んでいく本当にドタバタな構成は、劇伴としてはコメディ曲的な使われ方をしますが、しっかり聴くと技量をしみじみと感じられます。

4. 煽動海獣ダイパンダ / 笹木咲 

www.youtube.com

作詞・作曲・編曲:やしきん

 

冒頭でも少し触れたにじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」より。やしきん曲らしく2コーラス目でAメロとBメロの順番が入れ替わります。

何度も言っているのですが、サビの「海獣の夜は長い」の詞・メロともに天才。フレーズの終わりの「長い」の部分のメロのせいかもしれませんが、どことなくaiko曲みたいな寂しさがあるの好き。「海獣」にとっての「朝」を植え付けた上で最後に「死ぬまでやめんやよ」で締めるのがずるすぎる。

キャッチーなメロディーはもちろんですけど、去年の秋ごろの笹木周りのこともあって、すごく心に残る曲でした。

 

5. MARBLE / 樋口楓

作詞:平朋崇(First Call)

作曲・編曲:光増ハジメ(First Call)

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にじさんじ所属バーチャルライバー樋口楓のLantisレーベルからのデビュー曲。作編曲は光増氏ですが、「Rising Hope」に対する強いリスペクトを感じます。将来的になんらかのアニメ主題歌としての起用を見据えて段階を踏んで行っているんですかね。

しかし昨日(2020/3/29)もまたなかなか個性的な配信をされていて、本当にLantisからデビューしてLantis側は本当にそれでいいのかと不安になってしまいます。

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あと、最近気づいたことのメモ雑音源を作りました。本当に適当です。

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References:

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今日もどこかで

今日もどこかで

  • 田中 貴 & 細野しんいち
  • アニメ
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しばらく在宅の雰囲気が続きそうなんで、自宅の音響環境をちょっと良くしていきたいですね〜。

 

それではまた。

#SMASHThePAINT / にじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」全曲レビュー

 こんにちは。4g0_2です。

表題の通りの内容です。オタク音楽が好きな人向けのにじさんじ解説兼にじさんじを追っている人向けのオタク音楽案内だと思ってください。いわゆるネタバレが多分に含まれるので、CDを聴いてから他人のレビューを観たい方は先に聴いた方がいいと思います。それと、分量も結構ありますので時間に余裕のある時に読んでいただけると幸いです。

 

それでは早速。

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2020/05/20追記:配信販売、サブスク解禁されました。やったね 

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1. 「にじさんじ」と音楽

  バーチャルYoutuber(Vtuber)というワードはオタク文化の中でしっかりと根付いたものになってきました。

 少しVtuberの歴史(?)を振り返ると、2017年から「バーチャルYoutuber四天王」に代表される先駆者たちが新境地を開拓していきました。活動としてはゲーム実況動画や生配信、いわゆるYoutuber的な内容のなどがある一方で、VR生配信でのファンとの交流などバーチャルならではの活動で技術的にも新たな世界が広がっていきました。そんな中、2018年2月にいちから株式会社が運営する「にじさんじプロジェクト」が開始し、今でいう「元一期生」の8人がデビューしました。ちょうどその時期はにじさんじだけでなく様々な企業が運営するVtuberグループが発足し、企業に属さない個人のVtuberも急激に増えてきて、認知度と多様性に関してVtuber文化が急激に発展した時期でもありました。当初(本当に当初)のにじさんじプロジェクトはLive2Dを用いた配信アプリの提供を目指しており、最初期のメンバーはそのテスターとして参画していたわけですが、まあ紆余曲折あってエンタメ経済圏を加速させるVtuberグループに成長を遂げます。

 そんな経緯で動き出したにじさんじプロジェクトですが、気付いたら所属ライバーが100人を超えていて、ここ半年あたりではアジア圏を中心に海外展開も始めるワールドワイドなプロジェクトになってきました。活動内容はYoutubeで雑談・ゲーム・歌・その他企画などの生配信や、歌動画の投稿が主なものですが、Youtube以外での活動ではトークショーのようなリアルイベントや歌唱中心のライブ、最近では超A&G+のラジオ番組など、オンラインオフライン問わない様々な形式の活動を展開しています。

 幅広い活動の1つとして歌・音楽はにじさんじにとって欠かせない要素です。活動当初から何かとニコニコの文化と相性のよかったにじさんじですが、「元一期生」が活動し始めて1ヶ月経った頃から所属ライバーのイメージソングを制作する文化が形作られていきました。中でもライバーの1人である月ノ美兎がデレマス好きだという話をしたことを受けてiru氏が制作した「Moon!!」は田中秀和氏作編曲のデレマスOP「Star!!」をリスペクトした曲に月ノ美兎の配信ネタを詰め込んだ歌詞で、ファンメイド音楽文化を加速させる起爆剤になりました。

www.nicovideo.jp(これは6月に投稿されたFul Ver

www.youtube.com(アニデレももう5年前)

 「ファンメイド」の文化は音楽だけでなくイラストでも広がっていきましたが、時間が経つにつれてプロのクリエイターの人々にもにじさんじファンがちらほらと現れるようになりました。ファンとの交流が密なライバーが多いこともあり、Twitter上でのライバーとプロクリエイターとの交流やプロクリエイターによるファンメイド作品が投稿されることもありました。

 プロクリエイターとの交流が深まる音楽面ではライブイベントを展開してく狙いもあり、プロクリエイターへ楽曲提供を依頼する形での楽曲コンテンツ展開が始まっていきます。ライバー個人としては樋口楓の1stシングル「KANA-DERO」、にじさんじ全体では昨年11月にフルアルバム「にじさんじMusic MIX UP!!」が発売されたり、kz氏プロデュースの一周年記念楽曲「Virtual to Live」(以下、VtL)はそれ以降のライブでのいわゆるおねシン的なポジションの曲になったりするなど、数々の楽曲提供を受けています。特に、VtLでは先述の「Moon!!」のフレーズや進行をリスペクトした曲になっており、楽曲提供の文脈においてもファンメイド文化が存在することがにじさんじの楽曲コンテンツの面白いところだなと思います。

www.youtube.com(どうしようもなく今を生きている)

2. にじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」とは

 前置きが長くなってきましたがそろそろ本題に近づこうと思います。

 2019年12月8日、kz氏プロデュース楽曲のVtLの名を冠した両国国技館でのライブ「Virtual to Live in 両国国技館」の終盤の重大発表パートにてにじさんじオリジナルフルアルバム「SMASH The PAINT!!」の制作が発表されました。発表ではライバーとクリエイターの名前が写真とバン!バン!と次々に出てきて、有名どころも有名どころなクリエイター陣の連続に発表の瞬間はあまり理解が追いついていなかった記憶があります。ちなみに、そのタイミングでの発表では他にも現在行われているにじさんじ2周年記念全国Zeppツアー「にじさんじ JAPAN TOUR 2020 Shout in the Rainbow!」や、月ノ美兎、樋口楓、petit fluers(森中花咲、御伽原江良)のメジャーデビューの発表もありました。

 (これは発表から少し経った後のオタクの感想)

 

 そんな感じで発表された「SMASH The PAINT!!」の制作ですが、クリエイター陣の編成に関しては運営の方からVtLを制作したkz氏に相談があったらしく、kz氏本人も含めたつよつよトラックメイカーが集結することになりました。

 にじさんじファンはもちろんライバー当人たちも漫画・アニメ・ゲームなどのオタク文化圏に浸かっている人(人外含む)が多いこともあってか、召集されたクリエイター陣もkz氏同様DJ文化圏で有名なクリエイターだけでなく、ボカロ文化圏やアニソン文化圏のクリエイターも目立ちます(そう思うとkz氏ってちょうどこの3文化圏の共通部分にいる存在なんですね)。

 

 最高のクリエイター陣による楽曲提供で送るアルバム、いったいどうなってしまうんだ……という気持ちが続いた中、Zeppツアーの各公演に合わせたり合わせなかったりしたタイミングで全12曲のワンコーラス試聴動画が順々に公開されていきました。試聴段階で全曲に良さがあることがわかりましたが、Fullではどうなってしまうのか……。

 

まあそんなこんなで、以下から「SMASH The PAINT!!」全12曲について、歌っているライバーと楽曲制作を担当したクリエイターの紹介を簡単にした後に楽曲のレビューをしていこうと思います。

 

……ここまでが前置きです。

3. 全12楽曲レビュー

 ライバー紹介では雑な人物紹介と個人的おすすめ配信アーカイブなどを1人1つずつ紹介、クリエイター紹介では簡単な紹介と個人的に好きな曲の紹介、楽曲レビューでは楽曲をレビューします。ライバー紹介ではライバー名の部分がチャンネルへのリンクにクリエイター紹介ではクリエイター名がTwitterアカウントへのリンクになっているはずです。漏れやミスがあったら教えてください。また、今まで私が聴いてきた音楽の傾向から各曲のレビューごとに結構ムラがあると思いますがご容赦ください。

 

 いっぞ!

M1: 3 倍!Sun Shine!カーニバル!

ライバー紹介

アンジュ・カトリーナにじさんじ公式美少女錬金術師ライバー。雑談がうまいNTR愛好家。戌亥とこ、リゼ・ヘルエスタとの同期3人「さんばか」として活動することも多い。イケボから放たれるおしゃぶりガラガラ哺乳瓶トークは本当によくわからん。

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戌亥とこ:歌うまケロベロス。歌がうますぎてカタギじゃないと言われることも多い。雑談もうまい。でも、あんスタ!(特に衣更真緒)の話になると限界オタクになる。「さんばか」では他の2人から一歩引いて笑ったり、面倒みたり、ちょっかい出したり。

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リゼ・ヘルエスタ:文武両道人望激アツプリンセス。同期のアンジュ・カトリーナとは幼なじみでコラボ配信も多い。雑談がうまい。配信はゲーム・雑談が中心。割と頻繁に陰のオーラが滲み出る。尊敬する人物は月ノ美兎。第一第二第三皇女かもしれない。

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クリエイター紹介 

作詞:烏屋茶房

近年はアニソンの文脈で目にすることが多いが、カラスヤサボウ名義でのボカロ曲も有名。キャッチーでポップな曲からいわゆる電波・ネタ曲的な振り切った曲まで楽曲の幅は広い。

www.youtube.com(1曲目の sweet sweet everytime sweet の作詞・作曲・編曲担当)

作曲・編曲:篠崎あやと

アニソンでは烏屋茶房氏とタッグを組むことも多い。橘亮佑氏とMassiveNewKrewとしての活動も。烏屋茶房氏と同様に王道からネタまで、作品の顔になる楽曲制作が特徴。最近は警察が出現している。

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楽曲レビュー

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SMASH The PAINT!!」の最初を飾るにふさわしいOP曲。最初FULLを聴いたとき爆笑しながら号泣してしまった。いやぁ完璧やったな。

数々のアニメ主題歌を担当してきた烏屋篠崎ペアによる「さんばか」の主題歌で、3人のいろいろな要素を詰め込みながらも、さんばかの日常の様子やリスナーへのメッセージが強く伝わってくる良曲。

鳴っている音も雑談配信でのBGMへのリスペクトが盛り込まれているのも好き。AメロBメロ内でも鳴っている音の景色やリズムがコロコロ変わっていって、良い意味でまとまりがなくあっちこっちでいろんな配信をしている様子が見えてきます。

合いの手パートではリゼ皇女のクソ真面目な不器用感が滲み出る。「Let's Go!」が「レツゴー」になったり、「Oh Yeah!」が「オイエー」になったりと、真剣な顔で収録しているのにアンジュがツッコミつつ戌亥が後ろで笑っているあの感じ(収録現場でアンジュがツッコミ入れる余裕があるのかは謎)。

 とにかくいつも楽しく配信し、お互いを信頼しあっているのを曲からも感じられたが非常によかったです。さんばかと一緒にこれから先いろんなものを見ていきたい。

あと、こればっかりは仕方ないんですが、3月5日に開催予定だったZeppツアー東京公演で聴きたかったですね〜。いつの日かライブでわちゃわちゃしながら歌えるのを願っています。

 

参考文献

 

M2: Not For You

ライバー紹介

にじさんじ長時間ゲーマー民の1人。にじさんじ内で累計配信時間が圧倒的首位。ゲーム中心ではあるが意外と悪ノリ企画にもちょくちょく顔を出している。葛葉と「ChroNoir」というユニットを組んでいる。声優の島崎信長と親交がある。ママ。

www.youtube.com (同期ライバー・赤羽葉子とのコラボ配信)

葛葉:ストイックな長時間ゲーム配信をする吸血鬼。独特なワードセンス。ドーラ、本間ひまわり、社築との4人ユニット「ド葛本社」の活動もちょくちょくあり、リアルイベントも開催された。

www.youtube.com(ド葛本社でのコラボ配信)

クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:ゆよゆっぺ

ボカロPとして知っている人も多そうなクリエイター。BABYMETAL楽曲の編曲の活動もありハードなサウンドが持ち味で、キャラソン・アニソンも担当することが多い。Naked Identity Created by King のボーカルとしても活動中。

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楽曲レビュー

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かっけ〜〜〜〜〜〜〜。

いわゆる2番最強打者理論に則った2曲目。

FULL自体はZeppツアー福岡公演で披露されたのですが、福岡公演は刺激が強すぎて正直楽曲どころではなかったので、今回のアルバムで初めてしっかりと楽曲に向き合うことになりました。

ゆよゆっぺ氏のハードなロックサウンドにふわっとして掴み所のない不思議な叶の歌声と葛葉のキリッとした煽りラップパートが映える曲。歌唱部分もChroNoirのツインボーカルを活かす構成になっており、曲全体としてメリハリがあり輪郭がくっきりと浮かび上がってくる。

Dメロがありえんかっこいい。2人それぞれの個性がバチバチにぶつかり合って、暴力的なかっこよさになっている。叶のがなり気味の張り上げた声と葛葉の真っ直ぐ突き刺すような声ってこんなに相性いいんですね……。

詞もとにかく自分たちが行きたい道を突き進んでいくという2人らしいメッセージになっている。 

2人の配信上での相性だけでなく、ツインボーカルとしての相性の良さを増幅させることに特化した楽曲です。Zeppツアーの円盤って本当に出ないんですか……。

M3: 1+1でQ.E.D.!!

ライバー紹介

御伽原江良:ギバラ。ちょくちょくバズる人。事あるごとに盛大に頭からコケる等身大のシンデレラ。ゲーム・雑談中心。家事はできないかもしれない。うるさい。ロリコン。るん!

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童田明治:11歳。11歳?。歌・ASMR・FF14と活動の幅は広い。歌がうまい。オケがオリジナルの歌ってみた動画を出したらYoutube著作権侵害措置を食らう事件があった。グラブルの古戦場の話になると声の高さがワントーン下がる。本当に11歳?

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:Nor

Future Bassど真ん中のKawaiiサウンドが特徴のトラックメイカー。読み方はノル。Vtuber文化圏ではキズナアイ氏への楽曲提供でも有名。YUC'e氏とは活動を共にすることも多く、beignetというサークルを2人で立ち上げている。

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楽曲レビュー

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Kawaii

AメロまではFuture Bass感控えめだけど、Bメロから片鱗を徐々にチラつかせてきて、サビでゴリゴリのKawaii Future Bassになる構成はもはやKawaii Future Bassのいないいないばぁ。

この曲は童田の3Dお披露目にもなったZeppツアーでFULLが披露され、2Aのエグいベーススラップで爆笑してしまったことをよく覚えています。御伽原江良さんと童田のKawaiiところが凝縮された曲で、普段御伽原江良さんを見かけないのでこの人こんなに可愛いんだ……と驚きを隠せません。

2B後のうんたん地帯はギバラのリズム天国配信と童田の歌がうまいのになぜかリズム感覚が壊滅的なところが同時に参照される部分になっていて、素直に上手すぎて唸らずにはいられない。

楽曲のテーマもいわゆる「御伽組(物述有栖・童田明治・御伽原江良)」のメンバーである2人に対して、証明・実験といった「科学」を当てて、そんなもん知らんといった様子から自分たちの世界でやりたいことをやっていく2人の姿がよく表現されています。

 

M4: 青春モード!もう1回!!

ライバー紹介

本間ひまわりにじさんじの元気印の関西っ娘。ゲーム中心。ゲームに対してはかなりスイトックだけどとにかく楽しい配信だらけ。母がとあるにじさんじライバーのファン。頭は良い方ではない。運営はライバーの体調に配慮をしたスケジューリングをしてください。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:HoneyWorks

ニコニコ音楽文化圏でおなじみのクリエイターユニット。青春系の楽曲が多く、にじさんじライバーにほファンが多い。楽曲を原作としたアニメ映画やTVアニメも制作された。

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楽曲レビュー

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「本間ひまわりの青春」を純度100%で表現した曲。どストレートもどストレートな本間ひまわりらしい曲です。

FULLバージョンはZeppツアー難波公演で初披露されました。本ひま歌唱曲はとにかく元気になれてよかったです。しっかりコール覚えた状態でライブを聴くとより一層強化された楽しさを味わえそう。

曲の構成はもうハニワ曲らしさ全開。本ひまの配信がひまぐま(リスナー)にとってのもう1回の青春であるとともに、本ひま本人にとってのもう1回の青春でもあるんですよね。そんなもう1回の青春をみんなで作っていく本ひまの生き様が難しい言葉を使わずに素直に歌い上げられていて、本ひまらしいなぁという感想以外が出てきません。

あと、ちょくちょく本人の言及もありましたが、デビュー当初は歌に対して消極的(歌うつもりは一切ないほど)だったのが、配信やイベントを通じて歌に対してポジティブに向き合うようになったのをひしひしと感じます。ソニー・ミュージックとの共同プロジェクト「しのごの」にも参加している本ひまですが、歌が本間ひまわりにとってのもう1つの青春になっていきそうです。

M5: サンデーサンデー・フルーツフール

ライバー紹介

える:エルフのえる。本名がやたらと長い。にじさんじ脳死・脊髄トークの源流。よう喋る。雑談・ゲーム中心。最近はオリジナル曲を出すなど歌に関しても精力的。ドコドコ・ヤッタゼ・ヴァルキュリア

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シスター・クレアにじさんじの良心。にじさんじの最後の清楚砦。でもなんだかんだでしっかり破天荒。雑談・歌・ラジオ・マイクラ中心。きっちりとした王国民。アイカツやデレマスにも造詣が深い。CuP。神の御加護があらんことを。

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クリエイター紹介 

作詞:八城雄太

キャラクターに寄り添った絶妙な歌詞をバンバン生み出す作詞家。デレマスでは最初期から現在まで楽曲への歌詞提供を続けていて、デレマスを支える重要な人物。

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作曲・編曲:石濱翔(MONACA)

音楽制作集団のMONACA所属。最近は歌物が有名だが劇伴作家としての活動も多い。しっかりとしたバンドサウンドからいわゆる渋谷系の可愛い曲まで幅は広いが、一貫して聴いていて気持ち良い曲にあふれている。

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楽曲レビュー

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曲としてはRun Girls, Run!に提供される石濱曲に近い印象がある一方で、えるさんとクレアさんのそれぞれのほんわかとした独特な可愛さ成分も曲に乗っかっていて、結果的に2人のちょっとオシャレな曲に仕上がっています。

えるさんは最近オリジナル曲をバンバン出していて歌にもかなり積極的ですが、オリジナル曲はどちらかというとかっこいい曲に寄っているのでこういった可愛いオシャレな曲はちょっと新鮮でした。

詞はおだやか日曜の1日を描くストーリーになっていて、2人それぞれの安定感があって落ち着く雰囲気が共存しています。「お別れ色の空にまたねしよう」は八城詞っぽさ全開で天才の詞。

Dメロ後の間奏は石濱曲の中のKawaii成分を煮詰めたパートになっていて、堀崎氏のKawaiiけどちょっとオシャレなギターソロが輝いています。ちなみに、クレアさんは王国民なこともあり、堀崎氏がギターを担当したことに感動する一幕も。

 

M6: Playtime Magic

ライバー紹介

加賀美ハヤト:。顔がいい。歌がうまい。ライブパフォーマンスでは刺激を受けたと他の男性ライバーからの証言多数。でも楽しくなってくると小学生になる。MTGや最近だとデュエプレやARK配信ではよくかがみくんになる。雑談枠では社長なのに大量の高額スパチャを投げられる。

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夢追翔:地獄の使者。司会の人。シンガーソングライターでもある。サイコパス。大型コラボの司会や企業案件の司会、ライブでの現地リポートなど運営から仕事を振られることも多い。忙しいのはわかるけどシンガーソングライトしろゆめお。

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緑仙:企画配信の源流の1人。他のライバー、Vtuberを巻き込んだ企画をやりたいようにやっている。雑談や歌動画も多い。歌から入ったファンも多い?顔と声が良い。他のライバーの個性を引き出すのに特化した企画すき。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:Avec Avec

シティポップの文脈を受けつつSynthpopの文化も合流させたサウンドが特徴のサウンドクリエイター。Seiho氏とのユニットSugar's Campaignではゲストボーカルを招聘した楽曲作成をしている。

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楽曲レビュー

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午前5時の新宿でle jouetの幻覚を観たときの曲。犯罪にかぎりなく近い。でも言葉通りの遊び心も散りばめられていて、le jouetのいろんな側面を一気に味わえる曲に仕上がっています。

曲はAvec Avec氏らしさに溢れていて、聴き間違いでなければところどころテンポがちょっとずつ歪んでいるのが幻覚感を強めてきます。普段かっこよさを前面にして殺しを行うle jouetの3人ですが、この曲の大半では3人のオトナな側面で堕としにきます。

とはいうものの、社長とゆめおのラップパートは2人の無邪気に楽しんでいる風景が観れたり、そのあとの緑仙のソロはいつものストレートなかっこよさを堪能できたり。

le jouetに弄ばれることに快感を覚えてしまう。3人ともみんな違うタイプの悪い猫。ダメです。

念のための参考文献

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M7: Radical Rabid Riot

ライバー紹介

ジョー・力一:りきーち。ゲーム配信はほとんどせず、基本的にはトーク配信とちょいちょい歌配信。ネタ動画集も多い。プリキュアの映画は毎作品1人で観に行っている。同期の舞元啓介と隔週で配信するラジオ「舞元力一」は視聴者年齢層がやたらと高い。

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鷹宮リオン:鷹宮リオン様。愛すべきポンコツ(ときどきママ)。ゲームの他に歌、朝活など。SAOのキリトが好きだと言い続けていたら、コミックスの巻末イラストとコメントを寄稿することになった。「きちゃ」など数々のミームの発生源。3Dお披露目配信(特にラスト)は必見。

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竜胆尊:こんばんわじゃ。わらわ。鬼の女王。スケベ。ちっこい。いつも酒呑んでる。雑談中心だけど最近はゲームも多い。歌配信もけっこうあり、アニソンシンガー好き。奔放なお方で他のライバーをよく振り回して遊んでいる。鼻濁音が綺麗で好き。晩酌配信して。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:八王子P

ボカロ文化圏のテクノを牽引した重要人物の1人。重厚感のあるベースサウンドが特徴で、その上に乗っかるものはポップだったりダークな曲だったりと様々な曲を展開するクリエイター。

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楽曲レビュー

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元SEEDs2期生出身のトリオユニット「RRR」(読み:りりり、#R_R_R_)の公式曲。Zeppツアーの名古屋公演でFULLバージョンが初披露されました。RRRはいつも一緒に何かをしたいわけではないけど、定期的いろいろやっていきたいといった25年目の老舗バンドみたいな距離感のユニットという印象があります。

わちゃわちゃワイワイしているいつものRRRの雰囲気とは打って変わって、八王子Pの重厚なサウンドによってかっこよさを押し出してくる曲になっています。かっこいいしライブ映えもするしの天才楽曲。かっこいいリオン様好きなんですけど、普段の配信でなかなか見ることができないんで本当に助かりました。

個人的にデビュー当時はこの3人がユニットとしてこんな曲を提供されるなんて想像だにしていませんでしたが、普通ならありえない3人組がなんだかんだで集まって共鳴していくのはにじさんじの面白いところだと思っています。そんな3人がこの3人でしか作り出せない世界感を叩きつけてくる曲で、普段のイメージとは違うもののそういった意味でのらしさがあります。

ワンコーラスバージョンのプレミアム公開同時視聴枠で言及された2Aの例の「竜胆尊でございます!」コールはここまで綺麗に入ってしまうと、聴いてると勝手に口遊んでしまう。

参考文献

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M8: 圧 倒 的 存 在 感

ライバー紹介

鈴原るる美大生。人間かどうかはわからない。11時間にわたるゲーム配信のあと30分休んだあと7時間同じゲームの配信をした。長時間ゲーム多めで雑談や歌配信も定期的にある。ライブパフォーマンスはずば抜けており、影響を受けた女性ライバーも多い。蜘蛛は苦手。

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でびでび・でびる:悪魔。酒コアラ。趣味は映画。鷹宮リオンらとのコラボが多い。でびっちというニコ生主と面識があるらしい。悪魔ライバーとコラボをすると保護者的な役回りになることも。料理は上手ではない。

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クリエイター紹介 

作詞:まろん(IOSYS)

比較的最近(といっても2016年だけれど)にIOSYSに加入し、作詞だけでなく作曲編曲もする人。電波・アイドル・クラブの文化をごっちゃ混ぜにしたアウトプットを得意とする。

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作曲・編曲:ARM(IOSYS)

東方アレンジ界隈を牽引した札幌の音楽制作サークルIOSYSの創設メンバー。2010年代以降はアニメ楽曲や音ゲーへの楽曲提供も多い。電波曲の人の印象を持つ人が多いが、それと同時に実はハードコアの人。

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楽曲レビュー

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(デーーーービーーーーサーーーマーーーー)

††††††異界の扉が開かれた††††††

(ドヴゥァーーーーーーーーン!!!!!!デデッデデ-ゥデ-ゥ)

 

ゴリゴリのARM曲にコテコテのまろん詞がついてくるでびるる曲。でびるるの存在自体が電波みたいなところがあるので、IOSYS勢が楽曲提供は解釈通りというかそれはそうといった感じ。

クラブで聴いて叫んで全身動かしてブッ倒れて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜。kz氏の警告通りドロップから人間性を失い始めてぐちゃぐちゃになっていく。

でび様の声と電波曲って合わないわけがないのを実証してくれて助かりました。

曲全体を通してあっちゃこっちゃにいってとっ散らかっているARM電波曲大好き。ARM電波曲でよく見受けられる技法ですが、この曲では特にサビでみられる七五調およびそのバリアントの畳み掛けが中毒性をより一層増しています。日本人の感性に訴えかけてくるWabi-Sabi電波スタイル。

今日からあなたもでびるる教†

M9: 煽動海獣ダイパンダ

ライバー紹介

笹木咲:やよ族。ゲーム中心。不憫シチュがとことん似合うガキ。でも後輩ライバーに対してはなんだかだで先輩的な振る舞いも。一度卒業するも復帰。やりたいゲームをギャーギャー言いながらやっている。煽った相手に勝ったことはおそらく一度もない。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:やしきん

 よく2コーラス目のAメロとBメロの順番が逆になる人。ネタに振り切った曲から王道ソングまでキャラクターや作品に寄り添ったストーリー性・文脈のある楽曲を創り上げる職人。

www.youtube.com(2曲目「For you! For みい!」の作詞・作曲・編曲)

楽曲レビュー

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個人的にこのアルバムで一番好きな曲。「海獣の夜は長い」の部分が詞もメロも天才。

一つ前の曲と並んでタイトルがおかしい曲でしたが、蓋を開けてみたら素直も素直な王道YASHIKIN-POP仕立て。やしきん曲らしく2コーラス目でAメロとBメロの配置転換がされている。

聴いてて笹木咲という人物像の核に素直さがあるんだなと試聴段階で感じていたのですが、FULLバージョンでそれをさらに強く実感しました。ゲームを楽しむのだったり発狂するのだったり、笹キッズ(リスナー)や他のライバーと煽り合うのだったり、今更どうしようもない後悔だったり、悲しみを隠しきれていない作り笑顔だったりと、笹木咲の生き様には彼女の素直さが根幹にある気がするんですよね。いろいろなことが起こる人生だけど、それでもみんなと楽しいことをして生きていきたいという彼女のある意味での死生観というか人生観のようなものを垣間見ることができる曲に仕上がっています。

また、開幕の囲碁将棋部だったり公式美少女だったり土俵だったりと笹木本人と彼女周辺の比較的最近のネタも散りばめられていて、「笹木咲のキャラソン」であり「やよ族の宮廷音楽」としても完成されている一曲です。

友情出演:囲碁将棋部泥棒猫泥棒されそうになった人

M10: Only

ライバー紹介

樋口楓:関西ヤンキー。でろーん。にじさんじの歌番長。Lantisからメジャーデビューが決まっている。同期の月ノ美兎とは配信外でも非常に仲がいい。歌がうまく絵のセンスも独特。ファンメイドイメージソングの全盛期以降も定期的にイメソンが作られている。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:YUC'e

トラックメイキングからボーカルまで自身で展開するアーティスト。Future Bass を基調にしつつ、クセになるメロディアスなフレーズが特徴。DJ活動も非常に精力的。

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楽曲レビュー

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ここからのJK組それぞれのソロ3曲に関しては、どの曲も「これまでとこれから」というテーマがあるように感じました。樋口楓によるこの曲「Only」では「これまでに感謝しながらこれからの1歩を踏み出す」曲という印象を持っています。

YUC'e氏のキラキラとしたサウンドを浴びせられつつも、どことなくノスタルジックなメロディーが特徴。夕日を浴びながら歩いているときに聴きたい曲。

最初に聴いたときに思い出したのは活動1年目のでろーんの姿でした。そもそもライバーを続けることだとか、活動に関する考え方などで家族と衝突するエピソードをちょくちょく漏らしていました。そういうこともきちんと自分の中で整理し考え直して、時々振り返りながら次のステージへ進んでいくことがこれまで迷惑をかけてきた人への感謝の仕方だというメッセージを感じます。気を使うけれど不器用な樋口楓らしい詞です。

メジャーデビューCDも間も無く(3月25日)発売になる樋口楓がこれからどのような道を進んでいくのか楽しみです。(追記2020年3月25日:メジャーデビューCDが発売されました。各種サブスクリンク

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M11: Aimless Story

ライバー紹介

静凛:長時間ゲーム配信の源流。声がいい。後輩から師匠的なポジションにされることも多い。声がいい。筋肉が好き。歌に対してはあまり積極的ではない。なんか存在がちょっとえっち。同期の月ノ美兎、樋口楓と3人でJK組としてにじさんじを牽引する存在。

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クリエイター紹介 

作詞・作曲・編曲:kz

言わずと知れたボカロ黎明期を支えたトラックメイカー。前述の通りこのアルバム制作において統括的な役割を担った。テクノサウンドを太い軸にコンテンツの顔になるプロダクトを量産している。

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楽曲レビュー

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この曲は「Only」とは対極的に「無限の可能性に溢れるこれから」に焦点を当てた曲。

kz氏の浮遊感がありつつもしっかりとしたテクノサウンドにしずりんのちょっと張ってはいるものの落ち着いた歌声が乗っかることで、一種のASMR的な側面もある作品になっています。

Aimless Storyというタイトルが良いですよね。語感が近いワードだとEndless Storyというワードが浮かび上がりますが、そんなものは当然いつまでも続くもので、どうなるかわからない物語をこれまでの物語から一緒に作り上げて行こうという未来志向。静凛個人だけでなく、バーチャルライバーが進んでいく姿とはどういうものなのかということをこの曲で改めて見せられた気がしました。

 

M12: アンチグラビティ・ガール 

ライバー紹介

月ノ美兎:委員長。雑談・ゲーム中心。エピソードトークがどれも謎が深くも面白く、リスナーをよく困惑させる。女児ノ美兎。エンターテイナー。最近の出来事を紙芝居形式でトークしたりする。趣味は映画。

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クリエイター紹介 

作詞:MCTC

作曲・編曲:TAKU INOUE

イノタク。バンダイナムコの音楽クリエイターとして数々のゲームコンテンツで楽曲提供やアレンジを手がけた。クラブミュージックとポップミュージックが様々な比率で融合された楽曲群が特徴。

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楽曲レビュー

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大円団。このアルバムの最後を飾る最高の曲。

アンチグラビティ・ガールというタイトルのとおりスペース的な(?)サウンドがガンガンなっている中、月ノ美兎が終始楽しそうに歌っている曲です。

タイトルのアンチグラビティ・ガールの通り、誰にも縛られず自由に楽しいことをやっていきたい無邪気で自由奔放な月ノ美兎が描かれているのですが、その一方で月ノ美兎という巨大質量の存在に引き寄せられて1つの文化が形成されているということ改めて実感させられます。もちろん全ライバー、全Vtuberそれぞれが作り上げていく世界があるのですが、月ノ美兎が開拓していくB級な世界は本当にいろんな人を引き寄せて、巡りめぐってこんなアルバムができるほど人を動かすんですよね。それでもやっぱりその世界を切り開いていく原動力は「笑ってたい!」なわけで。月ノ美兎はこれまでもこれからも月ノ美兎なんだなという安心感と期待感に涙を流す1曲でした。

 

4. 終わりに

駄文長文になり申し訳ないです。なんだかんだで2年と少しの間追い続けているにじさんじがこんな集団になってしまったんだなというのは、このアルバムを聴き、こうやってレビューを書いても未だに信じることができていないです。ミラティブで配信していた頃とか、SEEDs一期生のデビューとか、思い出せばいくらでも回顧できるのですが、どれもつい最近のように感じます。それでもその頃から結構経って当時同じところもありながら、こんなにも大きなVtuber集団に成長したこと、これからどんな景色を見にいくことになるのか全然わからないことけどそれを楽しんでいくということをこのアルバムを通じてゆっくりと咀嚼していきたいです。

もちろん全ライバーの全配信・アーカイブを追えているわけでもないですし、楽曲提供をされたクリエイター陣の全楽曲を聴いたわけでもないです。さらにそれ以外のVtuberの世界や音楽なんてこの世に大量にあるわけで、こうやって受け取る側も自分だけの世界観を大事しなければなと思わされました。

まとまりのない稚拙なレビューでしたが、にじさんじやV界隈、あるいは楽曲クリエイターの世界に足を一歩進めるきっかけになったらそれ以上の喜びはありません。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

一緒にせいいっぱいこの世を生きましょう!

最近よく聴いていた曲(2020年3月前半)

世間的にリモ・ワの風潮がありますが、自宅作業だと結局どっちつかずの状況になってしまう問題がいまだに解消できていません。

 

2020年冬アニメもいよいよ終盤に差し掛かってきて、OP・ED・挿入歌の重みをひしひしと感じる時期になってきました。

4g02の「202003_1」をApple Musicで

1. 初めて恋をした記憶 / 2B PENCILS & 中川かのん

作詞・作曲:maxakissa

編曲:黒須克彦

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dアニメストア神のみぞ知るセカイが配信されていたので、作業中に流していたときに改めて良いなと思った曲。神のみ女神篇はいつ観てもいいアニメですね〜。王道ラブコメとは少し離れている作品ですが、恋に焦点を当てているラブコメ独特なメタ感とそれによる表現の豊かさに毎回心を動かされてしまいます。普通のガールズバンド曲としての評価は正直そこまで高くないのですが、アニメ挿入歌としては個人的なアニソン五指に入る気がします。

2. 裏切りは無しです / DOKONJOFINGER(CV:伊東健人、小松昌平、小野友樹白井悠介)

作詞・作曲:吾龍・大和

編曲:大和

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青春ロック〜〜〜〜〜〜。2020年になってもこんなド青春の曲聴けるんですね。びっくりしました。リリースのタイミングもどこゆびメイン回の直後だったので、(今のところ)アニメでは披露されていないカップリング曲にもかかわらずアニメ本編とのシナジーを強く感じる良いアニソンでした。

 3. 罰と罰 / 鹿乃

作詞:鹿乃

作曲:田中秀和(MONACA)

編曲:佐高陵平(Hifumi,inc.)

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オタク大好きアルバム"yuanfen"。正直なところこのアルバムを初めて通しで聴いたとき強烈な死生観をエグい音に乗っけて叩きつけられた結果、その後数日体調が悪くなって聴くのをやめていました。いろいろな揺さぶり方をしてくるアルバムでしたが、その中でもとびっきり暴力的だったのがこの曲。暴力と言ってもガツンと殴られる感じの暴力ではなく、なんだかすり鉢でゆっくりゴリゴリとすり潰される地獄ような感じの暴力で身体感覚を失っていく曲というのが率直な感想です。怖い。

4. 妹汁 / 藤澤慶昌

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頑張ろうとしているときに観直すアニメの1つであるアニメ「スロウスタート」の劇伴楽曲。キャラソンアルバムと BD 特典キャラソンが北川勝利氏プロデュースであることで有名なスロウスタートですが、劇伴もジャズやフレンチ要素が結構盛り込まれています。前もどこかで話した気がしますが、ブラス隊の優しい音色が大好きなんですよね。この曲は0:56あたりからさりげなく差し込まれるラテン感のあるピアノがたまらなく好き。BD 特典ではありますが、おすすめの藤澤劇伴作品です。

5. Lost Thorn In My Side / 東山奈央

作詞・作曲・編曲:Kyota.

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いつの間にかしれっとサブスク解禁されていた曲。飛犬のサブスク解禁傾向のおかげで非常に生活が潤っています。東山奈央楽曲を何度か提供してきたKyota.氏による曲ですが、こんなオトナ・オシャレな曲も書けるんだなぁと感服しました。アーティストデビューをしてからも久しいですが、今年は東山奈央声優デビュー10周年という節目のとしで、東山奈央(正確には中川かのん役としての東山奈央)を追っかけていた人間として感慨深いものがあります。時の流れは速いねぇ〜。

 

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2020年冬アニメの劇伴が出そろったあたりで冬アニメ楽曲に関するまとめ(ないしランキング?)ができたらいいと思っています。できるんでしょうか?

 

それではまた